研究概要 |
トリヘテラスマネン合成を目標として、分子内ラジカル環化反応を基盤とした新規なホスホール骨格構築法の開発を検討した。種々の条件検討の結果、ビフェニル基を有する2級のホスフィンオキシドに空気存在下、トリエチルボランを作用させることによって収率よくジベンゾボスホールオキシドが得られることがわかった。本反応を活用することにより、これまで合成例がほとんどなかったラダー型ジベンゾホスホールオキシドおよびスルフィドの合成に成功し、ラダー型ジベンゾホスホールオキシドが有機蛍光材料として優れた蛍光特性を示すことを明らかにした。さらに、本反応を用いてトリホスファスマネンの合成を試みたところ、目的化合物は得られなかったものの、トリフェニレンの湾部に2つのホスホール環が縮環したトリフェニレノジホスホールオキシドの合成に成功した。 一方、トリフェニレンにヘテロールが縮環した化合物であるトリヘテラスマネン合成の別法としてトリフェニレンの湾部が6箇所リチオ化されたヘキサリチオ体経由の合成法を考案した。2,3,6,7,10,11-ヘキサエトキシトリフェニレンを出発原料として、TMEDA存在下、過剰量のn-BuLiを作用させたところ、効率よくヘキサリチオ体が発生することを見いだした。このヘキサリチオ体に、ジメチルジクロロシランを作用させたところ、トリシラスマネンが生成することがわかり、このヘキサリチオ体がトリヘテラスマネンのよい前駆体となることがわかった。続いてヘキサリチオ体にフェニルジクロロホスフィンを作用させ、引き続いて単体硫黄を作用させることで、トリホスマスマネントリオキシドの合成に成功した。このうちOs対称性を有する異性体については単離・構造解析に成功した。
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