公募研究
金属ナノ構造体近傍に蛍光分子が存在する場合、蛍光分子の蛍光強度が増強されることが知られている。この現象は、金属ナノ構造体に局在化した光電場と蛍光分子が強くカップリングするためだと考えられており、特に、1次元ナノ構造体は非常に興味深い。しかし、π空間を有するポリチオフェンチューブ構造におけるヘテロカップリングに関する研究は皆無である。そこで、ハイブリッドナノチューブにおける光増強ナノ空間の創成を目指して、ターチオフェンアルカンチオール(1) を保護基とする銀ナノクラスター(1-Ag : 3.5nm)の電解重合を、細孔径約200nmのポーラスアルミナをテンプレートに用いて行い、銀ナノクラスター-ポリチオフェンナノチューブ複合体(1-Ag-PT-NT)を合成した。その後、ポーラスアルミナを水酸化ナトリウム水溶液で溶解し、得られたサンプルを走査型電子顕微鏡(SEM)および透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察した。その結果、直径約200nmのハイブリッドナノチューブの生成を確認した。また、得られたポリマーナノチューブの構成元素を調べるために、エネルギー分散型X線分析(EDX)を行ったところ、1-Ag-PT-NTの構成元素に対応する元素の存在を確認した。銀ナノクラスター(1-Ag)は紫外光照射により弱い青色の蛍光を示すが、非常に興味あることに、1次元ナノ構造体の1-Ag-PT-NTに紫外光(365nm)を照射すると、強い黄色の蛍光を示すことが分った。これは1次元ナノ構造体における銀ナノクラスターとポリチオフェンによるヘテロカップリング効果によるものと考えている。
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Phosphorus, Sulfur, Silicon and the Related Elements (impress)