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2009 年度 実績報告書

塩橋型新規分子性導体の創製

公募研究

研究領域分子自由度が拓く新物質科学
研究課題/領域番号 21110521
研究機関早稲田大学

研究代表者

小林 由佳  早稲田大学, 高等研究所, 准教授 (80334316)

キーワード分子性導体 / 塩橋 / キャリア / 半導体 / らせん / プロトン / TTF / シンクロトロン光
研究概要

ブレンステッド酸一塩基反応によって形成される水素結合は局在電荷の強い静電引力によって引き合う「塩橋」であり、蛋白質の高次構造の形成や機能発現に大きな役割を果たす存在として知られる。本研究では、この塩橋によって高度に配列制御された「塩橋型分子性導体」の創製を目的としている。本年度は半導体レベルの電気伝導性を発現する水素結合性TTF誘導体の合成およびそのキャリア発生のメカニズムについて詳細な検討を行った。その結果、電解結晶化過程を伴わないごく単純な酸塩基反応により、塩橋型分子性導体を得る合成手法を確立するに至った。また、TTF骨格が伝導性発現に必須であることやメトキシ基などの、電荷が局在した置換基を導入することは不利であることなど、塩橋型分子性導体の分子設計に関する基礎的な知見を得た。そして、キャリア発生の起源は、TTF骨格中の中心二重結合へのプロトン化をきっかけとする電子移動反応の進行による「TTFラジカルカチオンの発生」および「埋め込み現象」が大きく関わることが高分解能NMRやESRなどの分光分析を駆使することによって明らかとなった。さらに、シンクロトロン光を用いた粉末X線結晶構造解析を行うことにより、2つの系についてその分子構造および集積構造を明らかにするに至った。ここでは、塩橋がらせん状に配置することにより、伝導性を担うTTF分子を一次元に配列させる役割を担っており、伝導性発現そのものや、TTF分子同士の接触を強くすることによって伝導性を向上させる効果を付与していることが明らかになった。これらの成果は、本年度の研究計画を完全に満たすものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Halogen-Bonding Interaction Stabilizing Cluster-type Diastereomeric Salt Crystals2010

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, Y., Maeda, J., Ando, T., Saigo, K.
    • 雑誌名

      Crystal Growth & Design 10

      ページ: 685-690

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hydrogen-Bonding-Assisted Self-Doping in Tetrathiafulvalene(TTF) Gonductor2009

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi, Y., Yoshioka, M., Saigo, K., Hashizume, D., Ogura, T.
    • 雑誌名

      J.Am.Chem.Soc. 113

      ページ: 9995-10003

    • 査読あり

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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