研究概要 |
有機分子の自己集合を用いた固体表面における2次元分子ネットワークは、その構造制御が困難なため、分子システムに相当するような複雑な構造体にはほど遠い。これらを分子システムまで進化させるには、より高度な構造制御を可能とする制御因子の解明が望まれる。そこで本申請課題では、不整合の導入を鍵とした(1)エントロピーの与えるネットワーク形成への影響の解明、(2)分子ネットワークのドメインサイズと形状の制御、(3)分子性準結晶の構築の三つの課題に取り組む。 (1)については、申請書記載の異なるアルキル鎖により置換されたDBAの合成を終えた。予想通り、C3対称構造とC2対称構造の二つの多孔性ネットワークが形成されることが分かった。現在、形成された二つの構造の形成される要因について、様々な観点から詳細に検討を行っている。(2)については、申請書に記載した四本のアルキル鎖により置換された三角形DBAの合成を終えた。また、この分子を菱形の縮環型DBAと混合すると不規則に混合したネットワークが形成されることが分かった。(3)については、申請書に記載された分子の合成を全て終えた。アルキルエステル基により置換された分子については1,2,4-トリクロロベンゼン/グラファイトもしくは金(111)界面において測定を行い、それらが様々な2次元ネットワークを形成することを明らかとした。また超高真空下における、分子配列に関しても調査をおこなった。これら得られた結果の詳細な分析と考察を次年度継続して行い、成果報告する計画である。 なお、本申請課題と密接に関連した成果について海外学術誌に一報発表した。
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