本研究課題では、独自開発した自律型液体ナノプロセスによる金属ナノ粒子アレイの作製と、フローティングナノ粒子ゲートメモリへの応用について検討してきた。研究期間内に、同一平面内に仕事関数のことなる二種類以上の金属ナノ粒子を含むハイブリッドアレイを作製し、書き込みゲート電圧制御による多値化メモリの開発に挑戦することを目的とした。 平均粒径12nmの金ナノ粒子と5nmの白金ナノ粒子をそれぞれ合成した。それらの表面をクエン酸ナトリウムで修飾することにより、その表面電位を-40mV±3mVとした。ハイブリッドアレイの作製は、二段階成膜によりおこなった。はじめに、金ナノ粒子単層膜を成膜したのち、その間隙に白金ナノ粒子を充填することを考案した。 基板表面にアミノシランを単分子的に修飾することにより+25mVに帯電可能であったことから、独自開発した液体ナノプロセス装置を用いることにより、粒子径や形状、組成に依存することなく、3-200nmの各種金属ナノ粒子の集積が可能になった。白金ナノ粒子の集積密度は5.0x10^<11>/cm^2が得られた。粒子間には半径程度の空間が形成されていたことから、粒子間の静電反発力、粒子と基板間に静電引力のみを駆動力とした自己組織化集積構造の形成を示唆しており、ナノレベルの材料設計を反映した集積構造が得られた。 金ナノ粒子単層膜成膜後に、白金ナノ粒子の成膜をおこなった際、成膜時に金ナノ粒子が基板から脱離することがわかった。そこで、基板表面にアミノシランとナノ粒子を化学的に固定化することが可能なチオール基を分子末端に有するメルカプトシランを含む混合単分子膜を修飾した結果、二段階成膜時における金ナノ粒子の脱離を抑制し、隣接する金ナノ粒子間に形成されたナノ空間に白金ナノ粒子を充填することに成功した。
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