研究概要 |
機能性無機化合物として、Eu(III)イオンから構成される磁性半導体EuX(X=0,S,Se等)ナノ結晶の合成および磁気光学特性(ファラデー効果)に関する研究を行っている。このEuXナノ結晶から構成される巨大な自己組織体はEuXナノ結晶間の磁気的相互作用を増大させると考えられ、新しい機能材料への展開が期待される。しかし、これまでEuXナノ結晶の自己組織体による特異的な磁気機能発現に関する報告例はない。本年度はEuSナノ結晶から構成される巨大組織体の創成・構造制御および機能発現に関する検討を行った。 球状および立方体型のEuSナノ結晶を有機媒体に分散し、ポリマー薄膜(マイラー)上にディップすることで会合体形成を行った。得られた薄膜のX線散乱測定にょり、EuSナノ結晶から構成される巨大組織構造の形成が明らかとなった。得られたEuS巨大組織構造を含むポリマー薄膜の磁気特性を評価するため、SQUIDによる磁気測定を行った。この磁気特性評価により、立方体型EuSナノ結晶組織体から構成される巨大組織体は球状から構成されるEuSナノ結晶組織体に比べて磁気特性の向上が観測された。 本検討により、球状および立方体形状を有するEuSナノ結晶から構成される巨大組織体の構造形成に成功し、その自己組織化に基づく特異的な磁気機能発現の観察に成功した。
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