1. タンパク質・ペプチドによるカーボンナノチューブ可溶化に成功した。ナノ粒子合成:バクテリア由来球殻状タンパク質のDpsを遺伝子工学的に改変し、外表面に露出しているサブユニットのアミノ末端にアミノ酸鎖(リンカー)を介してカーボンナノ材料認識ペプチド(CNBP)を提示させた。このキメラタンパクは自己集合して、球殻状タンパク質超分子を形成することを確認した。この変異Dps(mDps)溶液を、CNTと混合して超音波印加強制攪拌を行ったところCNTが水溶液中に分散した。この分散溶液から、凝集体を遠心で除去し、完全に可溶化したCNT+mDpsだけを用意してmDps内にナノ粒子を合成した。このCNT+mDpsを電子顕微鏡で確認したところCNTと周囲に配置されたmDps(コア付き)が確認された。CNTとタンパク質殻厚は1~2nm程度離れていることも確認できた。 2. 可溶化CNT+mDpsのランダム配置に成功した。電子線リソグラフィーを用いて電極間ギャップが100-200nmの複数種のギャップを持つ電極対を複数個用意した後、この電極間に可溶化CNT+mDps溶液を滴下して乾燥させた。この配置状況は走査電子顕微鏡で確認を行った。走査電子顕微鏡像からCNTが電極間に配置されたことが確認された。しかしながらmDps(コア付き)は形状が極小で走査電子顕微鏡の分解能限界のため観察不可能であった。作製した構造の初期的電気特性の計測を行ったが、現状では明確な結果は得られていない。
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