前年度にバイオインフォマティクス解析によって同定した植物間で保存されたアミノ酸配列を持つ14個のuORFの中から、uORFにコードされるペプチドが実際に翻訳制御に関与するものを同定する目的で、フレームシフト変異やアミノ酸置換によってアミノ酸配列を変化させ場合の下流のレポーター遺伝子の発現への影響を検討した。シロイヌナズナ培養細胞MM2dから調製したプロトプラストを用いた一過的発現解析の結果、アミノ酸配列依存的に下流ORFの発現に影響を与えるuORFを新たに5つ同定した。 新たに同定したuORFについて、発現制御に重要な領域を同定するために、アミノ酸置換解析を行った。制御に重要な領域のアミノ酸配列に特に共通性はみられなかったが、C末端の15-20残基が発現制御に重要であるという傾向がみられた。 昨年度の解析により、LONESOME HIGHWAY(LHW)遺伝子のuORFペプチドによる発現制御にはuORFの終止コドンが必要であるのに対し、ANAC082遺伝子のuORFペプチドによる発現制御は終止コドンに依存しないことが示された。今年度、新たに同定したuORFについても発現制御の終止コドン依存性を検討したところ、そのうちの一つのuORFでは発現制御が部分的に終止コドンに依存することが示された。これらの結果から、遺伝子によってuORFペプチドによる発現制御のメカニズムに違いがあることが示唆された。
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