新規キネシン-1カーゴ受容体Alcadein(Alc)が、キネシン-1モーターを活性化する仕組みを解明し、Alc膜小胞カーゴが順行輸送される制御機構を解明する為に以下の実験を行った。(1)KLC側の結合サイトを、KLC欠失変異体とAlcのKLC結合WDモチーフのpull-downアッセイにより同定した。結合による機能発現は、EGFP-Alcが正しい速度で細胞内順行輸送されることを全反射顕微鏡を用いて確認した。。(2)Alcの細胞質ドメイン欠失変異体とKLCを発現した神経細胞で、GFP-KHCの小胞輸送を全反射顕微鏡で解析する実験を行い、Alcのキネシン-1活性化領域の同定を試みた。(3)ゴルジ体ではAlcとAPPはX11Lを介した複合体を形成しているが、X11Lの解離によりそれぞれ独立した小胞としてbuddingする。予備的な解析からAlcの代謝産物であるAlc細胞質ドメイン断片(AlcICD)を人工的に多量に発現した場合、Alc小胞およびAPP小胞のbuddingを促進させる結果を得た。これらの成果は、Alcが小胞機能において果たす役割を解明すると同時に、その代謝産物が新たな膜小胞輸送を制御している事を示唆するモノであり、引き続き平成22年度に解析を継続し、Alcが小胞輸送制御に果たす分子機構の解明に取り組む。
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