今年度は2年計画の初年度なので、今後の基礎となる手法の確立に力を注いだ。細胞内画像は動画像で保存されることが多いので、動画像認識の方法を研究した。具体的には、時系列画像から位置に不変な特徴量を抽出し、それを基に各フレームを独立としてベイズの事後確率推定を行った。各フレームの条件付き確率を求める際にノンパラメトリックな確率推定を用いたので、事前の学習を全くに必要としない動画像認識ができた。また、細胞内画像から特定の対象を検出、識別することも重要であるので、局所線形正規化カーネルの統合に基づく高速かつ高精度な認識法の研究も行った。 また、細胞内画像では、動的な見えの変動があるため、変動に適応的な方法が必要となる。そこで、状況に応じて重みを適応的に選択する方法の研究もおこなった。また、同じ対象でも見えが異なることから、対象そのものではなく、全体的な文脈情報から対象の位置を推定する方法の研究にも取り組んだ。今年度は通常のカメラで撮影された(動)画像を用いて各手法の有効性を確認したので、次年度にこれらの方法を細胞内画像に適用し、評価する予定である。
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