今年度はこれまでの研究により得られた方法を基に実際の細胞内画像からの対象計数や対象追跡を行った。 まずは、画像内からオートファゴソームや脂肪滴のような輝点を計数する方法を2つのアプローチにより研究した。1つ目は顔検出のように輝点と輝点以外の領域を分離するような識別器を学習し、それを基に入力画像内から輝点探索を行うことにより輝点計数を直接的に行う方法である。この方法は精度はますますであるが、処理コストが高いのが難点である。2つ目の方法は高次局所自己相関特徴とサポートベクター回帰を用いて画像内の対象の位置は分からないが輝点の個数を推定する方法である。これは栗田・大津らの研究の改良版である。この方法はコストが低いが1つ目の方法に比べて精度が低下してしまった。今後は2つの方法の統合が必要である。 また、メラノソームの追跡の研究も行った。こちらは従来研究がほとんどないため、近年の画像認識でよく使われるSIFTによる特徴点検出機能とBayesの事後確率を利用した。1枚単位での追跡では高い精度が得られた。しかし、明示的な失敗からの復帰の方法を導入していないため、1度の失敗が精度の低下を招いてしまう。これについては今後の課題である。
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