形質細胞様樹状細胞(pDC)におけるToll様受容体9(TLR9)の動態的制御機構を明らかにするために、Rac活性化のマスター分子であるDOCK2欠損マウスおよびTLR9欠損マウスから分離した骨髄pDCならびに骨髄から分化誘導させたpDCを用いて機能解析を行った。 1. TLR9とGFPとの融合タンパク質を、マウスの骨髄から分化させたpDCにレトロウイルスの系を用いて発現させ、蛍光標識したCpG-A(TLR9リガンド)を取り込ませた後、その細胞内局在を分子イメージング解析した。その際、早期、後期エンドソーム、ERのマーカーを併用し、TLR9と細胞内小器官の共局在を数値化し、TLR9の細胞内での空間的制御機構を解析した。 2. 上記1.と同様の手法により、DOCK2欠損マウスの骨髄から分化させたpDCを用いても同様の実験を行い、Rac活性化の影響を確認するとともに、DOCK2-Rac活性化が及ぼすTLR9のメンブレントラフィックを介した時間的空間的制御機構を解析した。 3. DOCK2-Rac活性化がI型インターフェロン(IFN)産生に重要な役割を果たしていることを見いだし、DOCK2欠損マウスの骨髄から分化させたpDCを種々のTLR7やTLR9のリガンド(R848、CpG-A、CpG-B)やウイルス(Influenza A、HSV-2)で刺激し、IFN-α、IFN-β、IL-12p40、IL-6の産生をコントロール群と比較することで解析した。 これらの研究成果に基づき、pDCのI型IFN産生におけるTLR9の時間的空間的制御機構の解析を進める予定である。
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