Golginファミリータンパク質はゴルジ体の層板構造のスタッキングを維持する足場であると同時に、様々なArfやRabファミリーGTPaseと結合することにより、ゴルジ体への輸送小胞の繋留やゴルジ体層板間の輸送などのメンブレントラフィックを制御する機能を持つ。本研究ではgolginファミリータンパク質とArf/RabファミリーGTPaseとの複合体の結晶構造解析に取り組み、golginのArf/Rab結合特異性と膜への結合のメカニズムを分子レベルで解明することを目的とし、以下の2つのテーマについて研究を行なった。 1.GolginのGRABドメインとArf1の複合体による膜曲率感知機構 Golginファミリータンパク質GMAP-210にはGRABドメインが存在し、Arf1と結合して膜にリクルートされる。平成21年度にはGMAP-210のGRABドメインの発現系を試みたが分解が激しく極めて不安定であった。そこで平成22年度はArf1とGRABドメインの共発現などを試みたが安定な複合体を得ることは出来なかった。 2.GolginとRabの結合特異性の解析 平成21年度には1684アミノ酸からなるgolginタンパク質GCC185を150残基ごとに分割した発現系を作製した。また、GCC185との相互作用が報告されているRabの中から10種類について発現系を作製した。平成22年度はこれらのRabがGCC185のどの領域に結合するかを詳細にマッピングした。相互作用をプルダウン実験で検出したところ、結合は弱いもののRab2とRab6について相互作用領域を同定することができ、結晶化条件の検討を行った。
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