研究概要 |
本研究では、以下2点の実験検証を目指している。 (1) 遺伝子発現量の分布がガンマ分布に従うこと (2) 定常環境下で各細胞に見られる遺伝子発現量の時間変化が、研究代表者がこれまでに示した、ガンマ推移確率の表式に従うこと 当初、(1)をフローサイトメーター、(2)をマイクロ流体デバイスを用いた多点タイムラプス計測で、別々に計測することを計画していた。しかし、簡単なアガロー入パッドを用いた培養系を、顕微鏡の多点タイムラプス計測と組み合わせることで、(1)と(2)の計測を同時に、しかもハイスループットで計測できることが分かり、現在この方法を用いて計測を進めている。 本研究課題では、遺伝子発現量の推移が、個々の遺伝子の種類や発現制御の方式に依存せず、あるひとつのタイプの確率過程に従うかどうか検証する。そのためには、遺伝子種の発現推移をゲノムワイドに計測する必要がある。そこで、Zaslaverらによって構築された、大腸菌のプロモーターライブラリ(Zaslaver, et al. (2006) Nature Methods)を用いることにした。このライブラリに含まれる大腸菌株は、大腸菌のゲノムに含まれるどれかひとつのプロモーターからGFPを発現する。ライブラリには、1900種類の株が含まれ、それぞれ異なるプロモーターからGFPを発現する。これを用いて、現在アガロース・パッドを用いたタイムラプス計測を進め、これまでに20種類の株について、GFP発現量の分布と時間変化を計測することに成功し、引き続き異なる株について計測を進めている。
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