公募研究
これまでに申請者は、分裂酵母で、ノンコーディングRNA転写に共役し誘導される新規クロマチン再編成機構を見いだし、この機構が大規模な転写活性化や組換えの誘導に寄与していることを示してきた(Hirota et al. Nature 2008; Hirota et al MBC 2008)。そこで、このクロマチン再編成機構が、高等動物細胞にも保存された機構なのか探ることを目的として、申請者は酵母と同様に遺伝子破壊などの操作が容易に実施可能なニワトリBリンパ球細胞DT40を用いて解析を行った。DT40のイムノグログリン遺伝子座で起こっている、ある種の遺伝子の組換え現象(ジーンコンバージョン)とクロマチン構造の関係につき解析する。本年の成果として、イムノグロブリン遺伝子転写物のうち、コーディング領域より3kb以上長い転写物2種を検出した。これらの長鎖RNAはイムノグロブリン遺伝子上流ノンコーディング領域を含むことが期待される。現在長鎖RNAの構造につき解析を行っている。さらに、クロマチンの構造とジーンコンバージョンの起点となるDNA上のキズ(単鎖切断か2本鎖切断)の関連につき解析を行うために、イムノグロブリン遺伝子座のDNA上のキズを検出するアッセイシステムを構築した。その結果、イムノグロブリン遺伝子座中のDNAのキズは単鎖切断であり、AID(デアミネース)酵素によって誘導されることを見いだした。今後、分裂酵母で見いだしているノンコーディングRNA転写に伴い誘導されるヒストンの修飾(アセチル化やメチル化)とクロマチン再編成および、イムノグロブリン遺伝子座での単鎖切断の誘導との関わりにつき解析する。
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Methods in molecular biology Clifton, N.J VOL.557
ページ: 25-,266
The Journal of biological chemistry VOL.284
ページ: 26360-26367