平成21年度は申請研究計画書通り、マウスの搬入と繁殖を行い、研究に必要な各抗体の選定と条件検討、更に行動実験の条件検討を行い、実験条件を確立した。また、新たなトランスジェニックマウス作製のために、immediate-early geneの一つであるc-fos遺伝子のプロモーターの制御下でtetracycline-regulated transactivator(tTA)を発現する外来遺伝子ベクターを作製し培養細胞における検討を行った。プラスミド部分を排除し、精製を行ったDNA断片を外部委託によりC57BL/6Jの受精卵の前核にインジェクションを行い、仮親マウスに移植を行った。計20匹のマウスが誕生し、遺伝子系判定を行った結果、そのうち6匹が目的の外来遺伝子を染色体に含んでいることが分かった。得られた6匹のファウンダーマウスをそれぞれtet0-GFP GluR1トランスジェニックマウスと交配し、得られたダブルトランスジェニックマウスが成長後、新規環境刺激を与えることによりc-fos遺伝子のプロモーターの活性化を誘導した。脳スライスを作製し、GFP-GluR1の発現を指標にファウンダーマウスのスクリーニングを行った結果、一つの系統において特に、行動刺激依存的に海馬、大脳皮質の神経細胞に強いGFP-GluR1の発現が認められた。このトランスジェニックマウスは行動刺激により活動した神経細胞集団の操作に極めて有効なtoolとなることが期待される。
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