活性酸素種は動植物を問わず重要な生理活性物質でありその生成は厳密に制御されている。本申請は植物の感染防御応答において中心的な役割を果たす膜タンパク質の活性酸素生成酵素(NADPH oxidase;イネではOsRbohB)に焦点をあて、動物食細胞のものとは異なる活性化機構を明らかにし、活性酸素生成の制御過程を原子レベルで明らかにすることを目的とする。イネ由来のRbohB、Rac1を研究対象に選び大腸菌による大量発現系、精製系を検討している。カルシウム結合型のOsRbohBに関しては構造解析を終了している。OsRac1は全長の形で大腸菌に形質転換させ大量発現に成功し複数のカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行い、やや取得量は少ないが1Lあたり1mg程度のタンパク質がとれる段階まで達している。 RbohBとRac1の相互作用を検討するためRbohBのカルシウム存在・非存在、Rac1のGTP結合型・GDP結合型を用いてプルダウンアッセイを行った。その結果、相互作用はGTP依存性があったが、カルシウムに関しては依存性がなかった。またカルシウムの有無による構造変化を検討するためSAXS及びCDスペクトルを測定した。その結果有意な差が認められたため何らかの構造変化あると考えられる。一方Rac1との相互作用面を見出すためNMRを用いたperturbation実験を行った結果コイルドコイルの領域にあることが示唆された。
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