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2009 年度 実績報告書

多中心プロトン移動を含むATP加水分解とその自由エネルギープロファイルの理論研究

公募研究

研究領域水を主役としたATPエネルギー変換
研究課題/領域番号 21118508
研究機関京都大学

研究代表者

山本 武志  京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30397583)

キーワード化学物理 / 生物物理 / 生体分子 / 酵素反応
研究概要

ATP加水分解反応は生体分子のエネルギー伝達において中心的な役割を果たすにも関わらず、化学・力学エネルギー変換を含む総合的なエネルギー伝達の仕組みは未だに良く分かっていない。シミュレーションでこれを調べる方法としてはQM/MM法(量子化学計算と分子力場をハイブリッドに使う方法)等があるが、様々な理由によって計算の信頼性を得るのが難しい場合が多い。(ATPが大きな負電荷を持つこと、周りの溶媒やタンパク質とプロトンのやりとりをすること、ATP加水分解と共役するドメイン運動の時間スケールが一般に非常に長いことなど。)本研究では、まず溶液内のATP加水分解反応を対象として、QM/MM法に基づいて信頼性のある自由エネルギープロファイルを計算すること、および関与する複数の反応経路を自動的に洗い出す方法の開発を目的として研究を行った。平成21年度は、反応の始状態と終状態のみが分かっている時に、その両者をつなぐ最低エネルギー(または最低自由エネルギー)経路を状態チェインの方法で調べる研究を行った。その結果、水中メチルモノリン酸の加水分解ではassociativeなメカニズムとなるが、メチルピロリン酸やトリリン酸ではdissociativeなメカニズムとなった(触媒水は1個のみを仮定)。ただし、線形補間経路を初期経路として用いると、最適化された補間経路は初期経路に強く依存し、定性的に誤った結果になりうることが分かった。そこで、現在は初期経路になるべく依存しない自動的な経路探索の方法を調べている。さらに、ATPは大きい負電荷を持つため、溶媒やタンパク質の電子分極が自由エネルギー変化に対して定量的な影響を持つと考えられる。これを考慮するため、charge response kernelを用いたQM/MM自由エネルギー計算法の開発とテストを行った。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A wave-function based approach for polarizable charge model : Systematic comparison of polarization effects on protic, aprotic, and ionic liquids2010

    • 著者名/発表者名
      H.Nakano, T.Yamamoto, S.Kato
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 132

      ページ: 044106

    • 査読あり
  • [学会発表] Some numerical quests for accurate quantum dynamics in gas and condensed phases2010

    • 著者名/発表者名
      山本武志
    • 学会等名
      The 69th Okazaki Conference on "New Frontier in Quantum Chemical Dynamics"
    • 発表場所
      分子科学研究所(名古屋)
    • 年月日
      2010-02-21
  • [学会発表] QM/MM法に基づく化学反応の自由エネルギー計算と反応経路の探索2010

    • 著者名/発表者名
      山本武志
    • 学会等名
      IMSスーパーコンピュータワークショップ
    • 発表場所
      分子科学研究所(名古屋)
    • 年月日
      2010-01-13

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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