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2009 年度 実績報告書

水の媒介するATPゲートキーパーのシュミレーション

公募研究

研究領域水を主役としたATPエネルギー変換
研究課題/領域番号 21118513
研究機関大阪大学

研究代表者

STANDLEY Daron  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授 (00448028)

キーワードATP / GTP / タンパク質-ヌクレオチド相互作用 / タンパク工学 / 溶媒和 / 双極子フィールド / 分子動力学 / 酵素反応速度論
研究概要

われわれは最近、新しい機序により、GTPはATP-特異的サクシニルCoAシンテターゼ(SCS)との結合が制限されるという考えを提唱した。活性部位の入り口にある溶媒に露出している荷電残基と基質との静電双極子反応が生じ、それによりFTPの立体構造が、結合できないような構造に切り替わる。われわれはこの新しい機序に静電gatekeeperと名付け、gatekeeper残基が、基質を受け入れることのできる活性部位への接近をコントロールしていると考えた。このような機序があれば、酵素のヌクレオチド特異性を、ヌクレオチド結合部位を変えることなく人工的に作成することが可能となろう。特に、活性部位エントランスにある2個の正に荷電を、逆転させることで、ATP-特異的SCSの特異性を高めることができるであろうと提唱した。最近の実験結果によると、野生型と比較して、変異体(K60E, K128D)では、GTP親和性がはるかに高くなることが示された(K_mが>>1000μMから76.5μMに低下)。ATPに対する効果は、これよりも少なかった(K_mが68.5から195.3μMに上昇)。これらの結果は、(提唱している)gatekeeperの機序と合致するものである。ATPは、GTPに比較して双極子モーメントがはるかに弱いからである。さらに、活性部位を、判明しているGTP-特異的アイソフォームに変異させても(V127L, L241F)、GTP活性には何ら影響がなかった。つまり、gatekeeperが機能していて、GTPの結合を防いでいる。これらのことを総合すると、以上の結果は、結合部位の周囲にある溶媒層の静電特性を変化させることで、リガンド特異性を変えられることを、最初に実証したものである。この知見は、酵素の分子進化に重要な意味を持つものであり、また、構造に基づく薬物デザインにも意義深いものである。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] SeSAW : balancing sequence and structural information in protein functional mapping2010

    • 著者名/発表者名
      Standley DM, Yamashita R, Kinjo AR, Toh H, Nakamura H
    • 雑誌名

      Bioinformatics (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A single polymorphic amino acid on Toxoplasma gondii kinase ROP16 determines the direct and strain-specific activation of Stat32009

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto M, Standley DM, Takashima S, Saiga H, Okuyama M, Kayama H, Kubo E, Ito H, Takaura M, Matsuda T, Soldati-Favre D, Takeda K
    • 雑誌名

      J Exp Med 206

      ページ: 2747-2760

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Outcome of a workshop on applications of protein models in biomedical research2009

    • 著者名/発表者名
      Schwede T, et al. (23 authors), Standley DM, Stouch T, Vajda S, Vasquez M, Westbrook JD, Wilson IA
    • 雑誌名

      Structure 17

      ページ: 151-159

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Zc3hl2a is an RNase essential for controlling immune responses by regulating mRNA decay2009

    • 著者名/発表者名
      Matsushita K, Takeuchi O, Standley DM, Kumagai Y, Kawagoe T, Miyake T, Satoh T, Kato H, Tsujimura T, Nakamura H, Akira S
    • 雑誌名

      Nature 458

      ページ: 1185-1190

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Membrane attachment facilitates ligand access to the active site in monoamine oxidase A2009

    • 著者名/発表者名
      Apostolov R, Yonezawa Y, Standley DM, Kikugawa GS Takano Y, Nakamura H
    • 雑誌名

      Biochemistry 48

      ページ: 5864-5873

    • 査読あり
  • [学会発表] An introduction to protein-protein docking II2009

    • 著者名/発表者名
      Daron M.Standley
    • 学会等名
      Ochanomizu Univ.Predictive Biology lecture series
    • 発表場所
      お茶の水大学
    • 年月日
      2009-11-11
  • [学会発表] Functional Annotation using SeSAW2009

    • 著者名/発表者名
      Daron M.Standley
    • 学会等名
      MEI Center lecture series
    • 発表場所
      大阪大学中の島センター
    • 年月日
      2009-11-07

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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