顔認知課題には側頭葉底部の関与が大きいことが指摘されている。我々はてんかん患者において診断目的に硬膜下電極を留置した際に顔、文字、ストライプなどの視覚提示を行い、顔・文字認知に関連した脳皮質電位変化を捉えた。本年度は従来型の半分の直径(1.5mm)、倍密度を有する高密度電極を作成して両側側頭葉底部に留置した。視覚認知課題はひらがな、図形、顔、ストライプを提示した。ECoG生データは周波数成分変化をPermutation testによる統計検定を行い、特に高周波成分である80-120Hzの周波数成分(high-Gamma band)に着目すると側頭葉底部では顔刺激では前方外側、ストライプでは後方正中部が有意に活動領域の違いがあった。この所見は5症例で同様の傾向を認めた。 ECoG生データを時間-周波数解析と統計学的処理をすることなく、自動判別ソフトウエアの開発と応用をおこなった。このためにMatlab上で動作するSupport vector machine (SVM)とSparse logistic regression (SLR)法を応用した。ECoGデータは取得したMatlabで読み込める形式に変換した。この2つの自動判別ソフトウエアでは15回のトレーニングセッション後にはほぼ100%で誘発ECoGから視覚刺激を予測することが可能になった。 30症例のECoG電極位置を標準座標に変換し、標準脳上に計3000点ECoGの表示を行う。これによる典型的なヒトにおける視覚認知のダイナミクスを把握することができる
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