本研究の目的は「社会的シグナル」としての顔表情について発達認知神経科学的に明らかにすることである。この目的を達成するため、FRN (Feedback-related negativity)成分を指標としたEEG実験を成人と乳児から学童までを対象として実施する。 本年度は、成人を対象としてギャンブル課題におけるフィードバック刺激として「表情」を用いることで、N170成分とFRNを付き合わせて分析した。フィードバック刺激としてCongruentな場合(e.g.ギャンブルにおける正の報酬と正の表情の対応)とCongruentでない場合(e.g.負の報酬と正の表情の対応)で差異が発見された。 乳児実験に関しては、社会的参照場面における表情の効果をみるため、非接触アイカメラを用いて、表情と視線追従(ターゲットへのサッケード潜時)との関係に関する実験を行っている。現状では、1歳前後の乳児では、表情とサッケード潜時との関係がみられていない。今後、月齢の幅を広げることで表情とサッケード潜時との関係を発達邸に捉えていく予定である。
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