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2010 年度 実績報告書

エアロゾルの暴露グラディエントと冷温帯樹木の生理・組織化学特性の関係の解明

公募研究

研究領域東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト
研究課題/領域番号 21120501
研究機関北海道大学

研究代表者

渡邊 陽子  北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 学術研究員 (30532452)

キーワードエアロゾル / SEM-EDX / ブラックカーボン / カバノキ属
研究概要

平成22年度は、前年度に選定した北海道内のエアロゾル濃度の異なると思われる地域(都市中心部、都市郊外および冷温帯林)における樹木に対するエアロゾルの影響を明らかにするために、エアロゾル濃度の測定および測定地域に生育する樹木の葉に対する影響について分析を行なった。エアロゾル濃度測定はフィルターパック法を用いて分析を行なった。その結果、都市中心部よりも冷温帯林ではエアロゾル濃度が低いことが明らかとなった。さらに、越境大気汚染物質の1つであるブラックカーボンについても葉面沈着量の分析を行ない、その結果、都市部で最も高く、冷温帯林で最も低かった。都市域におけるエアロゾルやブラックカーボンは都市内部に発生源が存在するが、冷温帯林については近くに発生源がないため、越境大気汚染物質由来であると考えられる。
エアロゾルによる樹木への影響を明らかにするために、エアロゾル測定地域に生育するカバノキ属(シラカンバおよびダケカンバ)を選定し、着葉期間中に葉を定期的に採取し、SEM-EDXにより葉の表面に付着している粒子の顕微鏡観察および元素分析を行なった。その結果、都市中心部では葉に影響を及ぼすことが報告されているエアロゾル粒子が付着していることが明らかとなった。また、都市郊外では燃焼起源と考えられる粒子も観察された。これらの粒子は都市内部から発生したエアロゾルが付着したと考えられる。一方、冷温帯林の試料では土壌粒子が多く付着していたが、植物に影響を及ぼすと考えられる粒子は観察されなかった。また、各地域の供試木の葉のクロロフィル濃度を測定したが、地域による違いはみられなかった。
本研究の結果から、北海道内では越境大気汚染物質由来のエアロゾル粒子が樹木の葉に付着していることが確認されたが、現時点では樹木への影響はみられないことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 北海道における森林樹木の個葉に付着したエアロゾル粒子の観察2011

    • 著者名/発表者名
      渡邊陽子
    • 雑誌名

      日本森林学会北海道支部論文集

      巻: 59 ページ: 57-58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] エアロゾルは樹木へ影響するのだろうか?-これまでに分かっていること-2010

    • 著者名/発表者名
      渡邊陽子
    • 雑誌名

      北方林業

      巻: 62 ページ: 88-91

    • 査読あり
  • [学会発表] 北海道における森林樹木の個葉に付着したエアロゾル粒子の観察2010

    • 著者名/発表者名
      渡邊陽子
    • 学会等名
      第59回日本森林学会北海道支部大会
    • 発表場所
      札幌市、札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2010-11-09
  • [学会発表] Effects of aerosols on leaves of birch species in a cool temperate deciduous broadleaved forest of Hokkaido, northern Japan2010

    • 著者名/発表者名
      Yoko Watanabe
    • 学会等名
      IUFRO
    • 発表場所
      ソウル(韓国)、COEXセンター
    • 年月日
      2010-08-26

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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