エアロゾル粒子にオゾンを曝露して粒子の粒径・吸湿特性を観察する実験の実施を目指し、フローチューブリアクタ等で構成される反応装置の立ち上げを進めた。そして、リアクタに供給するオゾンの生成と濃度測定について検討を行った。オゾンは、低圧水銀ランプを用いて純空気に紫外光を照射して生成させ、その濃度は、紫外可視分光光度計を用いて波長255nmにおける光吸収を測定することで得た。フローチューブリアクタの上流および下流側において光吸収を測定した結果、リアクタの内壁へのオゾンの取り込みは限定的であり、リアクタ内のオゾン濃度は十分に制御可能であることが確かめられた。また、フローチューブリアクタを含む実験装置とタンデムDMAを接続し、大気エアロゾル粒子にオゾンを曝露する予備的な実験を行った。この実験では、タンデムDMAの一段目のDMAを用いてエアロゾルを分級し、それをリアクタに導入した。そして、二段目のDMAと凝縮粒子カウンタを用いて、リアクタを通過したエアロゾルの粒径を観察した。オゾンの曝露に伴うエアロゾル粒径の明確な変化は見られなかったため、有意な粒径変化の有無を確認するために、今後、繰り返し測定を行うことが望まれる。また、シールが不十分と疑われる箇所があったことから、より制御された条件での検討も課題として残された。本年度はこれらの検討に加え、大気エアロゾルをフィルタ捕集して抽出・再粒子化しオゾンを曝露する実験の準備として、名古屋大学東山キャンパス内において、カスケードインパクタを取り付けたハイボリウムエアサンプラを用いた大気エアロゾルの捕集を実施した。
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