研究概要 |
長崎海洋気象台において1990年-2006年に観測された黄砂日を気象庁HPより得た。また、同気象台で観測された気象データを国立環境研究所データベースより入手した。また、長崎市内の大気汚染観測局(一般局)におけるSPM、光化学オキシダント(Ox)、二酸化硫黄(SO_2)、二酸化窒素(NO_2)の1時間値より日平均、日最高濃度を算出した(1日20時間以上データがある場合のみ)。各観測局における各汚染物質の日平均、日最高濃度を平均し長崎市内における曝露指標とした。ライダーは高度200-1000mの黄砂消散係数と球形エアロゾル消散係数の日平均値を用いた。被爆者コホート(長崎市居住)から死亡日・性・年齢・死亡原因・既往疾患・喫煙などの情報を抽出した(1990年-2006年)。死亡原因は循環器疾患(ICD-9:390.0-459.9,ICD-10:I00-I99)、呼吸器疾患(ICD-9:460.0-519.9,ICD-10:JOO-J99)に分類し、外因死(ICD-9:800.0-999.9,ICD-10:S-Z)は解析から除外した。 死亡者20,822人のうち、60歳以上が95%を占めた。死因は循環器疾患が33%、呼吸器疾患が17%であった。非喫煙者が24%、既往疾患は糖尿病が5%、高血圧が14%であった。3-5月の黄砂日と非黄砂日における各大気汚染物質濃度の比較では、黄砂消散係数、SPMおよびOxが黄砂日で有意に高く、気温、相対湿度は有意に低かった。死亡者数の有意差は認めなかった。
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