研究概要 |
本研究は、衛星データ・地上計測・モデル計算を複合利用して、精度の高い大気エアロゾル分布の導出を目指すものである。典型的な大気エアロゾルとして、硫酸性、海塩性、土壌性、炭素性の4タイプがある。実際には種々のタイプが混合して浮遊する。気候や環境変動のために大気エアロゾルが通常値を超えて卓越するエアロゾルイベントは、1(土壌性エアロゾル),2(燃焼性炭素エアロゾル)の2タイプによって引き起こされるケースが多い。タイプ1の黄砂イベントの検出法に関しては、既に報告したので、今年度は燃焼性炭素エアロゾルの検出アルゴリズムの開発に焦点を当てた。 炭素性粒子は短波長に吸収帯を持つ。この短波長データを用いた炭素性エアロゾル検出指標値:γ=R(λ)/R(0.38μm)が1を越える画素は炭素性エアロゾル域と判別できる。本手法をADEOS-2/GLIデータに適用してγ-値の広域分布図を導出し,同時期にTerra/MODISデータの輝度温度から求めたActive Fire Productと矛盾しない事を示した。更にGOSAT/CAIセンサデータを用いて,2009年9月のカリマンタン(ボルネオ)島上空に滞留する山林火災由来の炭素性エアロゾルを検出した。 本年度は,衛星データから燃焼性炭素エアロゾル画素の検出法を探った。その後,エアロゾルの放射特性を求めねばならない。光学的に非常に厚いエアロゾルイベント時には,半無限大気モデルが効率的である。現在,新たに放射シミュレーションモデルの構築に取り組んでいる。
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