研究概要 |
本研究では、東アジア広域越境汚染の下流域にあたる長崎県福江島、並びに沖縄辺戸岬において大気エアロゾル試料(PM_<2.5>)を採取し、燃焼生成炭素系物質であるブラックカーボン(以下、BC)の放射性炭素(^<14>C)分析を行い、バイオマス燃焼起源のBCの時間変動を明らかにすることである。これにより、BCの発生源として、化石燃料とバイオマス燃料の燃焼生成割合を算出することが可能である。BCの発生源推定の観点から、越境大気汚染が我が国へ与える影響の大きさを評価することを目的とする。大陸気団の影響を受ける2009年11月から2010年5月までの期間、辺戸岬、福江におけるPM_<2.5>-BCの^<14>C測定を行った。辺戸のBC-14Cは、25-30pMC、福江では、18-44pMCであった。すなわち、辺戸では、25-35%がバイオマス起源、65-75%が化石燃料起源、福江では18-44%がバイオマス起源、56-82%が化石燃料起源であった。この期間の変動についてみると、辺戸では約10%との変動に対し、福江では、2,3月に20%以上の変動があった。2,3月には福江のBCにおけるバイオマス起源炭素の割合が大きくなっている。大きな変動が観測された期間は、流跡線解析から7割以上大陸起源の気団の影響を受けていたが、この期間をはさんでの気団の大きな変動は見られなかったことから、これらの変動の原因は、発生域における変動をとらえているかもしれないことが予想された。
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