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2010 年度 実績報告書

黄砂エアロゾルが救急外来受診に及ぼす影響の疫学的検討

公募研究

研究領域東アジアにおけるエアロゾルの植物・人間系へのインパクト
研究課題/領域番号 21120511
研究機関独立行政法人国立環境研究所

研究代表者

上田 佳代  独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究領域, 研究員 (60444717)

キーワード黄砂 / 健康 / 救急輸送 / 粒子状物質 / 疫学 / エアロゾル / 東アジア
研究概要

本研究は、黄砂の健康に対する急性影響を評価するために、長崎において、越境汚染の指標である黄砂飛来と救急外来受診との関連について明らかにすることを目的とした。
予備調査として、文献レビューおよび、福岡における呼吸器疾患のデータを用いた解析を行い、それらの結果を論文として学術雑誌に投稿した。文献レビューにおいては、黄砂の健康影響に関するエビデンスが十分でなく、今後の課題として論じた。
本調査として、平成22年度には、長崎市救急実態調査の救急搬送データ、長崎市内の5か所から得た大気汚染物質濃度データ、を用いた解析を行ったところ、SPM濃度上昇により、呼吸器疾患による救急搬送との間に有意な正の関連を認めた。
一方、黄砂の健康影響評価にあたり、黄砂日について異なる指標を用いた解析を行った。目視による黄砂判定を用いた解析では、救急搬送の前日、2日前、3日前が黄砂日であった場合のリスクは上昇し、救急搬送当日から3日前までの間いずれかの日に黄砂日があった場合の救急搬送リスク変化率は、4.3%(95%CI : -0.7,9.5)であった。ライダー観測による黄砂消散係数に基づいて判定された黄砂日における救急搬送リスクを評価するために、高度120mにおける黄砂消散係数の値が閾値(0.13/km)を越えた日を黄砂日とし、非黄砂日に比較した黄砂日の救急搬送リスクの変化率を算出したところ、黄砂曝露による救急リスクは10.2%(95%CI : 0.6,20.6)上昇したことを見出し、黄砂消散係数を用いた黄砂判定による健康影響評価の有用性を明らかにした。さらに、後方流跡線解析の結果により黄砂日を分類し、救急搬送リスクの大きさについて比較したところ、工業地帯を通過した黄砂粒子の曝露により、救急搬送リスクが上昇する可能性を示した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 黄砂の健康影響-疫学文献レビュー-2010

    • 著者名/発表者名
      橋爪真弘, 上田佳代, 西脇祐司, 道川武紘, 小野塚大介
    • 雑誌名

      日衛誌

      巻: 65 ページ: 413-421

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The effects of weather, air pollutants, and Asian dust on hospitalization for asthma in Fukuoka2010

    • 著者名/発表者名
      Ueda, K., Nitta, H., Odajima, H
    • 雑誌名

      Environ.Health Prev.Med.

      巻: 15 ページ: 350-357

    • 査読あり
  • [学会発表] 黄砂エアロゾルが救急搬送リスクに及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      上田佳代, 新田裕史
    • 学会等名
      第51回大気環境学会年会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス大学教育実践センター(大阪府)
    • 年月日
      2010-09-09
  • [学会発表] The effect of Asian Dust aerosol on emergency visits.2010

    • 著者名/発表者名
      Ueda K., Nitta H., Inoue K
    • 学会等名
      2010 Jt.Conf.Int.Soc.Exposure Sci.Int.Soc.Environ.Epidemiol.
    • 発表場所
      Coex convention center(ソウル、韓国)
    • 年月日
      2010-08-31

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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