研究領域 | 都市文明の本質:古代西アジアにおける都市の発生と変容の学際研究 |
研究課題/領域番号 |
21H00002
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
足立 拓朗 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究センター, 教授 (90276006)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遊牧民 / 砂漠地域 / 青銅製武器 |
研究実績の概要 |
西アジアにおいて都市が誕生する時期の遊牧民の交易活動をヨルダン、サウジアラビアの砂漠地域を対象地域として研究し、先史時代の遊牧民の交易活動が都市の発生に与えた影響を明らかにすることを目的とした。2021年度は、ヨルダン、バーイル地域におけるオスマントルコ期文献学的調査、そして青銅製武器の研究を実施した。 バーイル地域における文献学的調査では、著名な考古学者であるトーマス・エドワード・ロレンスの著書『知恵の七柱』に記されたバーイル地域について取り上げ、オスマントルコ期末期に同地域がどのような状態であったかを検討した。映画などで知られているように、ロレンスとアラブ反乱軍は、紅海沿岸の町ウジュフからオスマントルコの軍事拠点アカバまで進軍したが、そのルートは単に紅海に沿って北上するわけではなく、大きく北東に迂回し、バーイル地域に至っている。バーイル地域がロレンス達の行軍にどの程度の重要性があったにかを検討した結果、通過点に過ぎないと思われていたバーイル地域が、この周辺の遊牧民が集まる拠点として機能しており、当時のロレンスにも、その重要性が認識されていたことを明らかにした。この成果は、2021年度の研究成果報告にまとめた。 青銅製武器の研究では、アラビア半島の青銅器時代から鉄器時代にかけての遺跡から、約370点の武器の出土例を集成した。そして、研究対象地のバーイルに関係がある武器として、無茎の青銅短剣に注目し、三類型に分類した。長さが20cmの大型の類型がI類、長さが10から20cmの中型の類型がII類である。III類が10cm以下の小型の類型である。青銅器研究の成果は日本西アジア考古学会で口頭発表を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた貝製品研究は進んでいないが、文献学的研究、青銅製武器研究は順調に進んでいる。特に青銅製武器研究は英語論文を作成する目処がついた。
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今後の研究の推進方策 |
ヨルダンでの現地調査は今年度も困難でる可能性が高い。もし8月までに現地調査ができない場合は、青銅製武器の研究を中心に研究を進め、英語論文2本が年度内に刊行されるようにする。
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