本申請課題の開始前年に始まった新型コロナ・ウィルス感染症の影響により、2021年度は国内・海外での調査実施が不可能であったため、研究計画の実施には大幅な遅れが生じた。一方、2022年度には調査対象国および日本の出入国規制が緩和したことから、2021年度に実施することができなかった調査を含め、2022年度には積極的な調査を行うとともに、研究の取りまとめをおこなった。 8月には前年度から繰り越した補助金を用いて海外調査(エジプトおよびイスラエル)を行い、資料収集を進め、水関連施設の史跡調査を行った。加えて3月にも追加の海外調査(エジプト)を行い、資料収集、史跡調査の補完をおこなった。資料収集により入手した刊行資料および文書史料の分析を進めた成果の公開として、9月に所属大学内での研究報告(オンライン)、11月に京都大学で行われた東洋史研究会(対面)にて本申請課題に関する成果の一部の報告を行った。12月には本公募研究を主宰する新学術領域「都市文明の本質:古代西アジアにおける都市の発生と変容の学際研究」研究関連項目C-01関連メンバーとチュニジアにて国際ワークショップに参加し報告を行った。1月に申請者の所属大学附属の東洋研究所の機関誌『東洋研究』において、成果の一部となる論考を寄稿した。 当初の研究計画に比べ国内外における調査活動は縮小化したが、研究目的で目指した、前近代におけるカイロの水インフラ設備と行政、為政者との関係については一定の知見が得られた。
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