研究領域 | ハイドロジェノミクス:高次水素機能による革新的材料・デバイス・反応プロセスの創成 |
研究課題/領域番号 |
21H00012
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
前野 禅 北海道大学, 触媒科学研究所, 特任講師 (30721154)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 表面ヒドリド / ゼオライト / 卑金属元素 / 典型金属元素 / 脱水素反応 |
研究実績の概要 |
Inゼオライトで得られた知見に基づき、活性は高いが、選択性が低いとされているゼオライト内Gaヒドリド種の精密制御により、高活性と高選択性を両立した脱水素触媒を開発した。予備的検討により、ジヒドリド種[GaH2]+は高選択的な活性点である一方、モノヒドリド種[GaH]2+は非選択的な活性点である、という構造活性相関の知見を既に得ていた。モノヒドリド種の形成にはAlサイトが2つ必要であるのに対し、ジヒドリド種では必要なAlサイトは1つである。Ga導入量の増大により、1つのAlサイトで安定化できる[GaH2]+が優先して生成すると考えられる。低活性なGa+も生成するが、触媒表面の酸点の減少によりコーク生成抑制につながる。Ga導入MFIゼオライト(Ga-MFI)の固相イオン交換時のGa/Al及びH2処理温度を詳細に検討することで、ゼオライト内Gaヒドリド種の構造制御を試みたところ、高担持量Ga導入ゼオライト内では[GaH2]+が主に生成した。特に、高担持量Ga種をすべてゼオライト内AAlサイト上に導入するには、800℃という高温でのH2処理は必要であることがわかった。また[GaH2]+と[GaH]2+の生成比の異なる各種Ga-MFIを用いてエタン脱水素反応を行ったところ、[GaH2]+の比率の増大に伴い、選択性と耐久性の向上した。特に、高担持量Ga-MFIを用いて、反応条件を最適化することで、従来の非Pt系エタン脱水素用触媒の中で最も優れたエチレン生成速度を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、Gaヒドリド種の局所構造の制御により、優れたエタン脱水素触媒の開発に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、他の金属ヒドリド種の局所構造制御により、さらなる高活性な触媒を開発する。また、高温反応条件でヒドリド種が存在し、活性点として機能しているかを明らかにするため、in situ 分光測定によるゼオライト内Ga種の局所構造を調査する。
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