公募研究
イオン伝導性高分子薄膜の炭素電極に沿った面内イオン伝導度は、インピーダンス法で直接観測できないことが先行研究で指摘されていた。先行研究と同条件で櫛形電極をリソグラフィ技術で作製しプロトン伝導度を測定し、プロトン伝導度は櫛形電極の間に存在する石英基板上のNafion薄膜のプロトン伝導度であり、炭素電極パッド上のNafion薄膜のプロトン伝導度は観測できていないことを明らかにした。この結果から、結論が相反する二報の先行研究の内容を整理した。種々の追加検討を行った結果、炭素電極パッドとNafion薄膜界面の電気二重層キャパシタンスを変化させることで、炭素電極パッド上のNafion薄膜のプロトン伝導度に帰属可能なインピーダンス成分を観測できることが見いだされた。この知見をもとに、炭素電極上のイオン伝導性高分子薄膜の面内イオン伝導度を決定する手法を確立し、目的を達成した。確立した手法を炭素電極上のNafion薄膜に用いると、298K、相対湿度96%でのプロトン伝導度は、20-30 mS cm-1と比較的高く、過去に研究代表者らが報告した石英上のNafion薄膜と比較して約2倍、島状白金上のNafion薄膜と同等のプロトン伝導度を有することも明らかにした。また、炭素電極界面のイオン伝導性高分子薄膜における分子配向の同定法を確立することもできた。ベンチマーク材料であるNafion薄膜は炭素電極界面でシリコン基板上と同様の分子配向を有していた。乾燥状態のNafionの主鎖は面内方向に配向し、側鎖末端のスルホン酸基同士はダイマーもしくはオリゴマー化していると考えられた。共同研究体制は、前年度得られた結果をもとに、界面イオン輸送で著名なカルガリー大のKaran教授の研究グループとの共同研究を継続した。関連する論文発表は6件(うち国際共著3件)、学会発表は17件(うち招待講演は1件)実施した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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