公募研究
本研究では、大質量形成時の非定常的な降着率の増加に伴う増光「アクリーション・バースト」の候補現象の検出に最適であると考えられている 6.7 GHz メタノールメーザーを用い、メーザー源の強度モニター観測を日本から観測可能な全てのメーザー源に対して2日に1回以上の高頻度で行う事により、増光を見落とす事なく、いち早く捉えアラートを出す。この事により、「アクリーション・バースト」の発生頻度・増光継続期間・降着率の変動率・普遍性について知見を得る。我々が、2012年末から日立 32-m 電波望遠鏡を用いて継続している 6.7 GHz メタノールメーザー源の長期高頻度モニター観測により、バースト発生以前の変動性に基づいて観測ターゲットを絞り込む事は難しい事が分かった。つまり、日本から観測可能な約 450 天体全てに対して、変動を見落とさないよう高頻度 (2日に1回以上の頻度) で観測する必要がある点が明らかになった。そこで令和3年度には、日立 32-m 電波望遠鏡において従来は片偏波のみの記録を行なっていたところを、両偏波同時に記録できるようにした。また、観測に用いるパソコンを新しいものに交換するとともに、同パソコンで観測制御ソフトが動作するよう開発を行った。これらによりデータ処理に要する時間を短縮した。また、約 450 天体全てに対するモニター観測を継続した。さらに、3天体に対して東アジアVLBI観測網を用いた観測を実施した。
3: やや遅れている
当初は、日立 32-m, 高萩 32-m, 山口 32-m, 山口 34-m の 4 台の電波望遠鏡を用い、日立 32-m では毎日、それ以外の 3 つの電波望遠鏡では、 それぞれ年間4ヶ月程度の期間、毎日両偏波観測を行う予定であった。しかしながら、高萩 32-m 電波望遠鏡は、他の観測予定のために、メタノールメーザーモニター観測を実施できなかった。また、山口の 2 台の電波望遠鏡については、基準時刻を生成する水素メーザーに不具合が発生したため、観測自身がほぼ1年間実施できなかった。
令和4年度については、高萩 32-m 電波望遠鏡は他の観測予定が入っていないため、夏季の4ヶ月程度はメタノールメーザーモニター観測を実施できる事が確定している。山口の 2 台のアンテナについても、水素メーザーの代替品を導入済みであり、令和4年度は、2台それぞれ4ヶ月程度メタノールメーザーモニター観測を実施できる見通しである。
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
The Astronomical Journal
巻: 163 ページ: 83~83
10.3847/1538-3881/ac42d2
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 509 ページ: 1681~1689
10.1093/mnras/stab3040
http://vlbi.sci.ibaraki.ac.jp/iMet/