研究実績の概要 |
実験セットアップをシミュレーションで再現し、実験の際に生じるガンマ線や中性子線等の放射線の影響が簡易的なシールドで十分無視できるレベルになっていることを確認した。また環境放射線を評価し、本実験において大きな影響を与えないことを見積もった。 これをもとに測定装置および機器をセットアップした。さらに実際の配置に合わせた詳細なシミュレーションも設けた。粒子追跡シミュレーションをもちいて、今回の実験の立体角による入射効率、測定器での反応確率などを考慮した測定効率の評価を進めている。 本測定では2本の測定器の同時計測を要求するが、内部放射線による偶発的同時計測の可能性を評価するため、トリガーは独立にしてデータ収集を行い、不定性の評価を行っている。 またニュートリノ検出器での過去の210Po13C線源でのキャリブレーションデータを用いて13C(a,n)16O反応の反応断面積の再評価を行った。いくつか当時とは事象再構成のアルゴリズムが改善されており、より精密な評価が可能になった。しかし実験の不定性等を考慮しても本研究の立案ヒントとなった投稿論文とは不一致が残ったままである。一方で、線源寿命のため210Po13C線源は使用できず、また新たに同じ線源を用意することが難しい。その上、現在は別の測定が並行稼働しているため、仮に同様の210Po13C線源を用意できたとしても再測定は難しい状況にある。本研究にて別途測定する重要性が再確認された。
|