研究領域 | ニュートリノで拓く素粒子と宇宙 |
研究課題/領域番号 |
21H00066
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
諸隈 智貴 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 主席研究員 (10594674)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ニュートリノ / ブレーザー / 活動銀河核 / 母銀河 / 光赤外線観測 |
研究実績の概要 |
本研究の主目的は、ブレーザーと呼ばれる活動銀河核に対して、口径 8.2mすばる望遠鏡により取得した高解像度撮像データを用いて、その母銀河光度の測定からブラックホール質量を求め、ブレーザー天体のブラックホール質量の多様性やその母銀河と相対論的ジェットとの関連を探ることにある。 2021年度は、ブレーザーカタログ及びすばる望遠鏡 Hyper Suprime-Cam (HSC) データの再吟味を行い、一部使用しているカタログ情報、具体的にはBL Lac天体の赤方偏移情報に対して、カタログ使用方法に誤りが見つかり、それを修正した。また、HSC データが新しく内部公開され (2021年6月)、研究対象天体が増えたことに伴い、データ解析の方針として、他望遠鏡で取得された光度曲線を用いて、ブレーザーが比較的暗い、つまり母銀河が相対的に明るい時期の天体にまずは絞ることとした。これにより、母銀河光度の高精度かつ信頼性の高い測定が可能となり、その結果得られるブラックホール質量の精度・信頼性も高まる。 また、過去に高エネルギーニュートリノ事象 IceCube-170922A の起源天体と同定されたブレーザー TXS 0506+056 に対して独自に取得した HSC データの一次解析を完了させた。 さらに、すばる望遠鏡 IRCS および補償光学 AO188 を用いた近赤外線における高解像度データ取得のための観測プロポーザルを提出し、ブレーザー 1天体に対して撮像・分光データが2022年2月に取得された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
用いているブレーザー天体カタログの一部の天体に対して、赤方偏移の間違いが確認されたため、その修正に時間を要した。 また、すばる望遠鏡HSCの新データの公開がなされ、研究対象天体が増えたため、より信頼性の高い結果を得ることが先決であると考え、対象天体の選択方法の再吟味を行なっていた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に行ったブレーザーカタログの修正、解析方針の変更を踏まえ、すばる望遠鏡HSCを用いた大規模サーベイ観測において利用可能なデータを用いて、母銀河光度の測定及びブラックホール質量の算出を行う。まずはガンマ線カタログに基づくブレーザー天体(TXS 0506+056含む)の論文化を行う。同時並行で解析を進める他のブレーザーカタログについても年度内の論文化を目指す。 すばる望遠鏡IRCSと補償光学を用いて取得したデータの解析を行う。観測条件があまり良くなかったため、論文化に足る質のデータが得られているか吟味し、可能であれば論文化を目指す。
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