昨年度まで行ったすばる望遠鏡Hyper Suprime-Cam(HSC)で検出されたz~4の大規模超遠方銀河サンプル(ライマンブレイク銀河)のPlanck衛星のデータを用いたCMB重力レンズ効果測定及びライマンブレイク銀河のCMB重力レンズ効果と空間クラスタリングを組み合わせた宇宙論パラメータの制限に関する論文が受理され、Physical Review Letters(PRL)誌に掲載された。この成果はPRLのEditors’ Suggestionに選ばれ、さらにアメリカ物理学会(APS)が出版するPhysics MagazineのViewpointに選ばれた。Editors’ SuggestionはPRLで受理された論文のうち14%であり、Viewpointに選ばれる論文はAPSが出版する全ての論文誌に掲載される論文のうちの0.6%である。また、論文のインパクトを評価するウェブサイトAlmetricによると、この論文の注目度はPRLから出版された論文の中でトップ0.1%に入っている。また、本成果に関するプレスリリースを行い、世界中の87のニュースサイトに、日本では12紙の新聞に掲載された。さらに、本研究をもとにした研究提案は科学技術振興機構創発的研究支援事業に採択された。また、この論文に関連して1件の国際学会における招待講演を行った。本年度はこの研究をさらに推進し、HSCの最新のデータを用いた大規模超遠方銀河サンプルの作成、CMB重力レンズ効果の系統誤差の測定と銀河空間クラスタリングの測定に必要なHSC サーベイのランダム点の精緻化、Planck衛星の5倍程度の感度を持つAdvACTを用いたCMB重力レンズ効果の測定などを推進した。これらの研究は創発的研究支援事業に発展的に引き継がれ、ニュートリノ質量をはじめとする宇宙論パラメータの制限を引き続き行う。
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