研究領域 | ニュートリノで拓く素粒子と宇宙 |
研究課題/領域番号 |
21H00074
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田中 実 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (70273729)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マクロコヒーレンス / コヒーレンス生成 / 軽い暗黒物質 / 形状因子 |
研究実績の概要 |
本研究では、素粒子物理学の最も重要な課題であるニュートリノの未知の性質、および暗黒物質の正体の解明を目的として、ニュートリノおよびアクシオンやダークフォトンといった暗黒物質の候補である軽い素粒子が関与する原子レベルの微弱過程について研究を行います。特に,量子コヒーレンスを用いて微弱過程を増幅する方法について、理論的研究を進めます。 本年度は、ダークフォトンおよびアクシオン探索のためのレート増幅の原理について明かにし、実験家と共同でセシウム(Cs)原子を用いたパイロット実験計画を立案しました。特に、実験に関与するCs原子電子状態の自然幅と有限体積効果を考慮して、標的形状因子を評価し、レート増幅への影響を調べました。 また、Cs原子の基底状態と2つの励起状態の3つの準位の時間発展を記述するブロッホ方程式を用いて、基底状態とそれぞれの励起状態間にレーザー光を入射した場合の励起準位間のコヒーレンス生成について調べ、十分なコヒーレンスの生成が可能であることを明かにしました。 さらに、考えられる背景事象として、黒体輻射による原子励起についてその寄与を評価し、20K程度まで冷却すれば、想定されるダークフォトンの信号以下にこの背景事象を抑制できることを示しました。 関連する研究として、人工原子である量子ドットを用いた基礎物理法則の探求の可能性、および原子スペクトルの同位体シフトによる素粒子標準模型を越える新しい物理の探索についても研究を行いました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブロッホ方程式を用いた3準位系でのコヒーレンス生成について明らかにし、重要な目的を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
線幅を考慮した形状因子の評価を精密化し、さらなる背景事象の評価を行う。 また、実験計画の実現に向け、実験家との協力をさらに進める。
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