研究実績の概要 |
くりこみ可能なSUSY SO(10) GUTの枠組みで、クォーク・レプトン質量やCKM、PMNSをfine-tuning無しで再現できる最小setupである10、126、120表現Higgsを用いた模型について、dim5陽子崩壊が抑制される条件を求めることに成功した。さらに、ニュートリノの質量階層性について、順階層が予言されることを示した。また、タイプ1シーソー機構が働くときにレプトンセクターのCP位相やニュートリノの質量階層性などのニュートリノ物理と陽子崩壊の相関はほぼ無いことがわかった。 また、SUSY flipled SU(5)xU(1) GUTについても、最小setupの模型を構築し、陽子崩壊モードについて調査をおこなった。その結果、dim5陽子崩壊の部分巾がミニマルSU(5)の1万分の1程度に抑制されることがわかった。さらに、標準模型の湯川結合を正しく再現する条件から、dim5陽子崩壊において、「支配的なモードは p → K^+ nuである」、「p → pi+ nuの部分巾が、p → K^+ nuの10%から20%程度になる」、「フリーパラメータの値によっては、p → K^0 mu^+, p → K^0 e^+の部分巾が、p → K^+ nuの10%を超えることもある」ことを明らかにした。 また、クォーク・レプトンの世代構造について、ニュートリノは他のクォーク・レプトンに比べて非常に軽く、世代間の質量階層性が小さいという特徴がある。そこで、ニュートリノは世代間で質量がおおむね等しいという原理があると考え、ニュート リノ質量行列の各要素を、数学のランダム行列理論を用い解析した。その結果、3世代のニュートリノの質量の2乗差について、タイプ1シーソー機構の場合が実験と最も合うことを明らかにした。
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