研究領域 | ニュートリノで拓く素粒子と宇宙 |
研究課題/領域番号 |
21H00081
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
上坂 優一 九州産業大学, 理工学部, 特任助教 (60826618)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミューオン / レプトンフレーバー / 新物理探索 |
研究実績の概要 |
ニュートリノトライデント過程の測定は、新物理の兆候を捉え、その性質を探る方法のひとつとして知られている。これまでに、CHARM-II実験、CCFR実験などで測定が行われてきたが、将来はDUNE実験やIceCube実験による高統計の探索も期待されている。様々な模型で適用可能な定式を作成し、放出される荷電レプトン対の運動量分布などを定量的に計算することで新物理の詳細な情報を抜き出すことが可能となる。 令和3年度においては、かつて研究代表者がLμ-Lτ模型への適用を念頭に作成した定式を、他の模型でも適用可能となるよう拡張を進めた。共同研究者らとの打合せも順調に進めており、令和4年度に具体的な模型への適用と共に成果を公開する予定である。 また、ニュートリノトライデント過程は、新物理の中でも特にミューオンと結合する新粒子の探索において有効である。これらの新物理は他の新物理探索からの制限を受けることが考えられる。令和3年度は、ミューオンが関連する新物理過程である、「ミューオン原子におけるミューオン電子転換過程」、「偏極ミューオン崩壊に伴う放出電子偏極」、「ミューオニウム反ミューオニウム転換過程」、「レプトン原子核散乱での稀過程」に関する研究を行い、論文により成果を公表した。いずれの成果も本研究の目指す「新物理のパラメータ決定」に向けて大きく貢献するものとなっており、将来の新物理探索を行う上で有益となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ニュートリノトライデント過程を他の模型に拡張するための準備は着々と進行しており、十分に共同研究者との打合せを行っている。 また、関連する新物理探索や模型の研究を同時に進めており、最終年度での研究に向けて順調に知見が広がっている。特にミューオンと関わる「ミューオン原子におけるミューオン電子転換過程」、「偏極ミューオン崩壊に伴う放出電子偏極」、「ミューオニウム反ミューオニウム転換過程」、「レプトン原子核散乱での稀過程」について研究を行い、成果を論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度はニュートリノトライデント過程を様々な模型で活用できることを目指し、放出される荷電レプトン分布の定式を一般的な場合への拡張を目指す。まずは、令和3年度に行った定式化の拡張を具体的な新物理模型に適用し、ニュートリノトライデント過程に関して過去の探索から模型への制限がどの程度かや、将来実験でどこまで探れるかを大まかに調査する。 さらに、回折過程における放出レプトンの運動量分布の解析、および運動量分布観測への詳細な理解を目指す。その結果を受け、国内外の具体的な将来実験においてどれだけの成果が見込めるかを実験家と議論する。 また、関連する探索や模型との関係性を調べることを目指し、ニュートリノトライデント過程と関係の深い、ミューオンを用いた新物理探索の研究も同時に進める。
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