研究領域 | ニュートリノで拓く素粒子と宇宙 |
研究課題/領域番号 |
21H00083
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
関口 哲郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (20450356)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ニュートリノ |
研究実績の概要 |
ニュートリノにおけるCP対称性の破れの発見を目指し、ニュートリノフラックスに起因する不定性を低減する必要がある。これまで主要な系統誤差であったハドロン反応に伴う不定性が5%程度まで低減され、標的や電磁ホーンの設置位置の不定性や電磁ホーン冷却水における二次粒子散乱の影響など、これまでは相対的に小さかった系統誤差についても、今後さらに低減する必要性が生じる。標的や電磁ホーン近傍における二次粒子測定は、高放射線環境下でビームモニタを安定に動作させることが困難であったが、高放射線環境下でも安定に動作する高精度温度センサを用いて、二次粒子の物質でのエネルギー損失による温度上昇を精密に測定することで、二次粒子フラックスの測定が可能となる新たな検出手法を開発してきた。 令和3年度においては、まずモンテカルロシミュレーションを用いて、二次粒子フラックスの計算を行った。KEK中央計算機システム(KEKCC)において多数のCPUを用いた大規模計算を走らせることにより、高精度なシミュレーションを行った。電磁ホーンの位置に対して感度のあるようなセンサの配置を検討した。また、温度センサとして白金測温抵抗体を採用し、具体的な配線経路を検討してきた。温度センサの配線において延長導線を用いる際に、電磁ホーンと支持モジュールとの連結部において、遠隔操作で着脱可能なコネクタが必要となる。試作機による着脱試験を実施し、十分な性能を確認することができた。そうして、温度センサから読み出し機器までの全配線経路の仕様を確定させた後、物品調達を行った。計測機器の選定を行い、1台購入して読み出し試験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画の通り、モンテカルロシミュレーションによる検討を実施し、また温度センサの具体的な仕様も決定することができた。特に、仕様策定において一番重要であった遠隔着脱可能なコネクタについては、試作機を製作して着脱性を検証して、十分な性能を確認することができ、予定通りに仕様を確定することができた。また、調達が難航した部品もあるが、計画した物品は、調達を完了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、電磁ホーンへの温度センサの取付を行い、ヘリウム容器への設置の前に計測の確認を行う。また、ヘリウム容器から建屋地上部に設置する計測機器までの配線を行う。温度センサ全数分の計測機器を構築する。 電磁ホーン設置完了後、ビーム運転において温度データを収集する。得られた温度データから二次粒子フラックスを評価する。 得られた結果をまとめ、物理学会などで報告するとともに、論文を執筆し学術誌に投稿する。
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