公募研究
前年度調製した4種の繊維A~Dを室温(ガラス状液晶状態)で延伸し,応力と放射光X線回折パターンを同時測定した.以下,スメクチック層の変形を述べる.繊維A:層間隔が増加し,破断と同時に回復した.繊維B:層間隔が減少し,傾き角が増加した.分子鎖が軸方位にずれて層が傾いた.繊維繊維C:層間隔が増加するとともに層の分断が進行した.繊維D:繊維Aと同等の結果であった.応力とスメクチック層間隔の増加率から,スメクチック層間隔の拡大変形の弾性率を見積もったところ1GPaであった.繊維Cにおいては層間隔が6%以上拡大すると,層の分断に伴い他の繊維よりも顕著に大きな応力を示した.以上から,繊維Cは層を分断することで力学エネルギーを散逸し,大きな応力を示すと結論した.繊維Bのモルフォロジーを偏光顕微鏡観察とラマン分光で検討した.繊維Bの断面は扁平であり,X線入射方向を変えて測定した回折パターン(ビーム径300μm)から,層が局所的かつ,扁平断面繊維の面に平行かつ層方向に周期的に折りたたまれたキンク(シェブロン)構造を形成していると考えられた.一方,面に垂直な方向からビーム径4μmのレーザーを入射したラマン分光スペクトルは分子鎖(スメクチック層法線)が一方向に配向していることを示した.したがってシェブロン構造を形成しているとすればその周期は10μm以上のはずである.しかし,扁平面に平行に切り出した繊維の薄膜切片の偏光顕微鏡像は層が一様に傾いていることを示唆した.以上から,層は一様に傾き,かつ扁平断面繊維の厚み方向に沿って配向方向が変化すると考えた.
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
Macromolecular Chemistry and Physics
巻: - ページ: -
10.1002/macp.202300032
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