公募研究
本研究では、添加元素が層状に挿入された構造を有するミルフィーユ型Mg合金の構造を原子レベルで解明することを目的としている。特に、熱処理によって微量に添加したZnとYの原子配列がどのように変化するに着目して、蛍光X線ホログラフィーによる構造解析に取り組んできた。蛍光X線ホログラフィーは、微量な添加元素の配列を3次元的に解析できる強力な手法である。これにより、ミルフィーユ構造の形成過程に資する構造的知見が得られると期待される。昨年度までで、熱処理を施す前のMg合金に蛍光X線ホログラフィーを適用し、従来提唱されていた原子配列とは異なる、希薄合金特有のZn-Yクラスターが形成されていることを明らかにした。本年度は、熱処理を施したMg合金に蛍光X線ホログラフィーを適用し、添加元素の配列を調べた。一方向凝固材を準備し、520℃で5時間の熱処理を行った。実験は大型放射光施設SPring-8で実施し、質の高いZn-Ka線のホログラムデータを得ることができた。データを詳細に解析したところ、熱処理前で形成していたZn-Yクラスター構造が、熱処理後の試料では観測されなかった。この結果は、別途実施した電子顕微鏡による観察結果とも符合していた。得られた原子像から、ZnはMgのサイトに単純に置換していることが分かった。熱処理により、力学特性が低下することが知られていることから、Zn-Yクラスターの形成が機械強度向上の要因となっていることが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (3件)
MATERIALS TRANSACTIONS
巻: 64 ページ: 750~755
10.2320/matertrans.MT-MD2022009
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena
巻: 262 ページ: 147279~147279
10.1016/j.elspec.2022.147279
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 91 ページ: 091005
10.7566/JPSJ.91.091005
http://structure.web.nitech.ac.jp/
https://www.mfs-materials.jp/
https://www.hyperordered.org/