研究領域 | ミルフィーユ構造の材料科学-新強化原理に基づく次世代構造材料の創製- |
研究課題/領域番号 |
21H00104
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
眞山 剛 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 准教授 (40333629)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 塑性異方性 / キンク変形 / 結晶塑性 / 層状構造体 / 有限要素解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,最終目的である「層状構造体におけるキンク変形機構の統一的理解」を達成するため,①相配置の異方性に起因するキンク変形の実験的評価,②相配置の異方性に起因するキンク変形の数値的調査,および③変形機構と相配置の異方性が重畳した材料の数値解析を実施している.相配置の異方性に起因するキンク変形に関しては,モデル材料を用いた実験を自ら実施して,対応する数値解析との比較を行うことにより,層状構造体の設計・試作や負荷条件設定を柔軟に行うことができる点が本研究の特徴である.また,本研究領域の計画研究および公募研究として参画している研究者との連携により,自身では作成や実験が困難な共晶合金等を対象とした解析も実施し,様々な材料におけるキンク帯形成挙動を実験と計算の両面から調査している. 2021年度は,等方塑性体と近似できる樹脂からなる層状構造体を3Dプリンタにより作成し,圧縮負荷試験を行うことにより構成相の力学特性と相配置が不均一変形に及ぼす影響を実験的に評価した.また,実施した実験で用いた試料に対応した層状構造体の解析モデルを作成し,有限要素解析を実施することにより,等方塑性体からなる積層構造体の不均一変形機構を調査した.さらに本領域内で層状構造を持つ共晶合金を作成・実験的評価をしている研究者との連携により,対応する解析モデルを用いた結晶塑性有限要素解析を実施し,塑性異方性と不均一変形の関係について調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していた項目を着実に実施することができたことに加えて,当初は予定していなかった領域内の研究者との連携研究を開始することができた.さらに,当初予定していなかったキンク強化との関連を検討するための基礎的なフレームワーク構築にも着手することができたため,当初の計画以上に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,最終目的である「層状構造体におけるキンク変形機構の統一的理解」を達成するため,①相配置の異方性に起因するキンク変形の実験的評価,②相配置の異方性に起因するキンク変形の数値的調査,および③変形機構と相配置の異方性が重畳した材料の数値解析を実施する.相配置の異方性に起因するキンク変形に関しては,モデル材料を用いた実験を自ら実施して,対応する数値解析との比較を行うことにより,層状構造体の設計・試作や負荷条件設定を柔軟に行うことができる.また,本研究領域の計画研究および公募研究として参画している研究者との連携により,自身では作成や実験が困難な共晶合金等を対象とした解析も実施し,様々な材料におけるキンク帯形成挙動を実験と計算の両面から調査する. 2022年度は,2021年度に引き続き意図的な欠陥を含まない層状構造体に対する評価を継続すると共に,欠陥を含む層状構造体に対象を広げてより一般的な理解の獲得を目指す.具体的には,(I)欠陥が導入された等方塑性体からなる層状構造体の作成と実験的評価,(II)欠陥が導入された等方塑性体からなる層状構造体の数値解析,(III)初晶を含む共晶合金を対象とした数値解析,の3項目を系統的に実施する.さらに,予負荷により導入されたキンク帯が,その後の変形にどのような影響を及ぼすのかを調査することによりキンク形成とキンク強化との関連についても数値的に検討する.
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