研究実績の概要 |
実時間発展法と反対称化分子動力学の波動関数を組み合わせた数値計算を行うことで、13CのE1巨大共鳴の強度分布を求めた。実験および殻模型、RPAによる計算との比較を行い、何れの理論計算も実験をある程度説明することを確認し、結果を誌上論文として発表した。同様の解析を, 12Cについても行った、さらに、巨大共鳴からの粒子崩壊の確率を見積もり、12Cと13Cの場合を比較した。その結果、12Cではアイソスピンの選択則によって、α崩壊の確率が13Cと比較してかなり抑制されることを示した。これらの新しい成果は、今後論文として発表予定である。さらに、巨大共鳴とそのクラスター崩壊に関する実験、理論の研究プロジェクトについて、レビュー論文を共同執筆し出版した。 また、反対称化分子動力学(AMD)とラブラス展開法を用いて、中性子過剰核でのαクラスター形成の確率を求めた。中性子過剰なBe, B同位体では、予想に反してαクラスターの形成確率が増加しないことを見出した。その原因は余剰中性子によって、α粒子以外のクラスターが形成されるためであり、α粒子以外のクラスターも含めたクラスター形成確率を定義すると、中性子ドリップラインに向かって増加傾向が見られることを指摘した。この結果は、今後の実験計画の指針を与えるものであり、誌上論文のほか、国際会議での招待講演で発表した。また、本研究領域が最終年度であることから、採択期間中に得られた成果について、国際研究会において総合報告を行った。
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