公募研究
原子核におけるアルファクラスター構造の解明を量子色力学に直接基づく第一原理的なコア無しモンテカルロ殻模型により行う研究を推進し、最初の論文の準備を進めた。また、その研究成果を国際会議などで発信した。論文は Nature Communications 誌に掲載された。すでに14回の引用をされている。その論文では、モンテカルロ殻模型の特徴を活かして、先ず、原子核の状態の内部固有状態を求めて、原子核のスナップショットを得ることに成功した。さらに、もう一つの特徴である Tplot を用いて、通常の核物質に相当する成分とアルファクラスター成分とに分離することに成功した。これにより、第一原理的な核力により、これらの間での結合が起こり、実際の固有状態では重ね合わせになっていることが判明した。これは従来の治験とは異なる大きな成果である。具体的には、十分束縛している状態でもアルファクラスター的な成分があることになるので、アルファ崩壊の理論的解明に道を開くものである。この方法で炭素ー12原子核の構造解明を進めた。基底状態、ホイル状態のそれぞれに核物質的な成分とアルファクラスター的な成分が含まれることを初めて第一原理的に示し、従来の閾値模型とは異なる知見を得た、計算で得られた、エネルギーや電磁気的性質は実験データとよく一致している。特に、基底0+状態と第一励起状態である2+状態は完璧な回転状態を成していることを、第一原理的な理論枠組みの中で示せたことは大きな意義を持つ。
1: 当初の計画以上に進展している
第一原理的なコア無しモンテカルロ計算により、予想外の結果が得られた。つまり、従来の理論予測を裏付ける結果を想定していたが、アルファクラスター形成が十分に束縛された状態でも起きていることが分かり、今後の研究に大きなインパクトを与えた。
対象となる状態を広げ、また、原子核を質量数が14から20あたりにまで広げる。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
Nature Communications
巻: 13 ページ: 2234
10.1038/s41467-022-29582-0
Physics
巻: 4 ページ: 258-285
10.3390/physics4010018