本研究で目指すX線分光実験では、R5年度にJ-PARCにて予定されている炭素標的を用いた高質量分解能のグザイハイパー原子核分光実験(J-PARC E70)との同時データ取得を目指している。この2つの測定は、同じ反応機構を用いており、磁気スペクトロメータも共通化が可能である。さらにJ-PARC E70 実験では、反応分光の質量分解能向上のためにシンチレーションファイバーを用いたアクティブ標的(AFT)を用いる予定となっており、この情報を用いることでグザイ炭素原子のX線測定の感度向上が期待できる。本研究で目指すグザイ炭素原子X線分光とグザイハイパー原子核反応分光の同時データ取得を実現するために、R4年度は以下の開発等を行った。 (1)J-PARC PACへの実験提案と採択:J-PARC PACにこの測定の提案を行い、実験手法及びX線収量見積もり等に関して評価を受けた。この実験はJ-PARC E96実験として採択(stage-2)され、ビームを利用したデータ収集が認められた。 (2)アクティブ標的(AFT)とGe検出器を組み合わせた装置群の製作:R3年度までにGEANT4コードを用いたモンテカルロシミュレーションにて最適化した検出器配置を実現するAFT検出器とGe検出器を組み合わせた装置の製作を行った。また、データ収集に向けたGe検出器のメンテナンスも行った。 (3)実験セットアップ構築:この実験で用いる磁気スペクトロメータ磁石(S-2S磁石)を新設し、磁気スペクトロメータに属する検出器の設置及び調整を行い、R5年度のデータ取得に向けた準備を進めた。
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