研究領域 | 量子クラスターで読み解く物質の階層構造 |
研究課題/領域番号 |
21H00132
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
岡 眞 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, センター長 (60144606)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ダイクォーク / ヘビークォーク / テトラクォーク / カイラル対称性 / 軸性アノーマリー / 量子色力学 |
研究実績の概要 |
量子色力学における軽いクォークのダイナミクスを決定づける重要な対称性であるカイラル対称性と軸性アノーマリーを取り入れた、ダイクォークのカイラル有効理論を用いて、ヘビーバリオンとエキゾティックハドロンのスペクトルおよび崩壊過程の研究を行った。スカラー・擬スカラーおよび軸性ベクトル・ベクトルダイクォークのカイラル有効ラグランジアンを構築し、ヘビークォークとダイクォークの組み合わせであるヘビーバリオンおよびダイクォークとヘビークォーク2個から作られるテトラクォーク状態のダイナミクスに注目して研究を行った。特に軸性アノーマリーによって、擬スカラーダイクォークの質量にストレンジネスを含むものが軽くなる質量反転が起こることを示し、それがヘビーバリオンのスペクトルに与える影響を指摘した。また、有限温度あるいは密度系にダイクォークが置かれた場合のカイラル対称性の部分的回復の影響がヘビーバリオンの崩壊に大きく影響することを示した。また、カイラルダイクォーク模型によるテトラクォーク状態は、ボトムクォークを含む場合に格子QCD計算などの他の方法による研究結果と無矛盾な束縛状態が得られることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であるヘビーバリオンとテトラクォークのスペクトルと崩壊の研究が進み、論文2篇を投稿した。以上のとおり、当初計画で予定していた研究実績を出すことに加えて、カイラル対称性の回復の影響の検討まで進めることができたため、おおむね順調に進展している。と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では、有限温度・密度におけるダイクォークのカイラル対称性の回復に伴う変化、4クォーク状態のダイクォークとの結合とその役割、軸性U(1)対称性の破れの効果を中心に研究を進める。
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