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2021 年度 実績報告書

有限密度媒質中でのクォーク相関の解明に向けたレプトン対精密測定

公募研究

研究領域量子クラスターで読み解く物質の階層構造
研究課題/領域番号 21H00134
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

高橋 智則  国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 協力研究員 (80612134)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワード実験核物理 / GEM / データ収集系
研究実績の概要

本研究の目的は、有限密度媒質としての原子核を標的とした実験で電子陽電子対の不変質量を測定し、カイラル対称性の秩序変数であるクォーク・反クォーク凝縮量の実験的知見を得ることと、飛跡検出器の連続読み出しシステムを開発して既設スペクトロメータの低質量側アクセプタンスを広げることでクォーク・クォーク相関によりもたらされるカラー超伝導相の兆候を探索することである。
2021年度は電子・陽電子対スペクトロメータのビームを使ったコミッショニングデータを取得し、検出器や回路の性能評価・データ解析手法や較正方法の妥当性の確認を進めた。コミッショニングの結果からデータ収集効率が予想より低く、ビーム強度が瞬間的に増加する時間構造が原因となっていると見られたため既存の読み出しシステムのFPGAファームウェア改善による対策を検討した。
これに並行して、低質量側アクセプタンスを広げるために飛跡検出器の連続読み出し回路の準備を進め、最内層のシリコンストリップ飛跡検出器とその連続読み出し回路SMX2の評価を行うためのFPGAファームウェアを開発した。 また同じ回路をGEM飛跡検出器読み出しにも使えるかどうか評価するために放電保護回路基板を作成した。プリアンプゲインをGEM検出器の信号入力範囲に設定するとADC測定用の低ゲイン側波形整形回路の出力信号のベースラインへの復帰が遅く、1 MHz/chの高計数率環境での数え落しが無視できないとわかったため方針を変更する必要がでた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コミッショニングの結果からデータ収集効率が予想より低く、ビーム強度が瞬間的に増加する時間構造が原因となっていると見られたため、既存の読み出しシステムのFPGAファームウェア改善による対策の検討やトリガーロジックの見直しなどに時間がとられることになった。また、GEM飛跡検出器の連続読み出し回路として小型高集積な回路でなければ設置できないためシリコンストリップ飛跡検出器に使用予定の高集積回路SMX2チップの性能評価をしたところ、GEM飛跡検出器に対しては高計数率環境で性能低下の懸念が生じる結果となったため、やや遅れているとした。

今後の研究の推進方策

2022年度は2021年度に購入した連続読み出し回路試験基板の性能評価を踏まえて、別の集積回路(例えばVMM3a)の使用やシリコンストリップ飛跡検出器を増設することも視野に入れつつ連続読み出し回路モジュールを開発・製造し、性能・品質検査を行う。Geant4によるモンテカルロシミュレーションや2021年度実施したE16実験Run-0の測定器群コミッショニングのデータを使って、連続読み出しによるデータ収集で高速かつ効率のよいソフトウェアフィルターの設計を行い、性能を評価する。年度末に予定されているビームタイムでは、E16実験のベクトル中間子質量測定の物理測定開始前にJ-PARC主加速器の機器更新やハドロン実験施設取り出しビームの時間構造改善のための新光学の調整の結果の確認が予定されているため、このビームタイムで速やかに連続読み出し回路及びそのデータ収集システムのコミッショニングを行い、性能を評価する。

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公開日: 2022-12-28  

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