研究領域 | ハイエントロピー合金:元素の多様性と不均一性に基づく新しい材料の学理 |
研究課題/領域番号 |
21H00151
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
水口 佳一 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (50609865)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハイエントロピー合金 / ハイエントロピー合金型化合物 / 超伝導体 / 高圧効果 / 新物質 / 薄膜 / 高温超伝導 / 結晶構造解析 |
研究実績の概要 |
様々な結晶構造次元性を持つHEA型(High-Entropy Alloy型)の超伝導体の開発および物性評価を行った. 3次元構造を持つHEA型超伝導体Nb3XおよびCCA型(Compositionally-Complex Alloy型)超伝導体V3Xの合成に成功した.比熱測定からバルク超伝導が発現していることを確認し,各系でHEA状態やCCA状態が超伝導特性に及ぼす影響を評価した.特に,CCA型V3Xにおいては,同等の転移温度Tcを持つV3Geと比較し,上部臨界磁場が上昇すること確認した. 2次元構造を持つHEA型銅酸化物RE123超伝導体の薄膜作製に成功し,混合エントロピーの上昇がTcおよび臨界電流密度Jcの低下を伴わないことを確認した.この結果は,HEA化による機能性の付与(例として粒子線照射耐性)によって超伝導特性が低下しないことを示しており,高温超伝導体のHEA化による機能性開拓に重要な成果である. 2020年度までに開発したHEA型化合物超伝導体MTe(金属テルライド)およびTrZr2(遷移金属ジルコナイド)の物性評価を行った.特に,MTeにおいては,Mサイトの混合エントロピーを変化させた3種類の試料(PbTe, AgPbBiTe3, AgInSnPbBiTe5)において,高圧下超伝導特性および結晶構造・電子状態を評価した結果,HEA型組成ではTcが圧力に依存せずにほぼ一定になる現象を見出した.結晶構造や電子状態の圧力依存性からはPbTeと類似した結果が得られているため,HEA化が生じさせた局所構造変化が圧力下の超伝導特性に影響を与えていることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画していた新物質開発も順調に進んでおり,物性解明研究においては想定外の現象が見出されているため.また,薄膜の試作に取り組んだ結果,想定以上のスケジュールで成膜条件が定まり,論文掲載に至ったため.
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今後の研究の推進方策 |
新奇の現象が高圧下で見られた金属テルライドに関しては,超伝導機構解明に関する研究を推進する. 銅酸化物超伝導体薄膜に関しては,より特性が高い薄膜作製を試み,HEA化が特性向上を実現できるかを検証する. 1次元構造を持つ化合物も対象とした新たなHEA型超伝導体の探索を継続して推進する.
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