研究領域 | マルチスケール精神病態の構成的理解 |
研究課題/領域番号 |
21H00181
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
國松 淳 筑波大学, 医学医療系, 助教 (50632395)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 霊長類 / 眼球運動 / 連合学習 / 小脳 / 報酬 |
研究実績の概要 |
発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害の原因として、小脳の異常が多くの研究から報告されている。しかしながら、小脳は運動機能については多くの知見がある一方、社会性および認知機能に果たす役割についての理解が乏しい。本研究では、小脳外側部の神経活動記録および経路選択的な神経活動操作技術を適用することにより、高次脳機能制御における小脳の役割を明らかにする。 初年度である令和3年度は、神経活動の記録に用いる大型備品を購入し、研究環境の整備を進めた。それと並行して1頭のニホンザルに対して外科的手術とモンキーチェアに自発的に座るといった初期的な訓練を終了させた。また、認知機能をテストするために感覚運動連合学習課題を作成した。この課題では、固視点の色に従って、左右のどちらかに眼球運動を行うことが要求される。連合させた方向に正しく眼球運動を行うと、報酬としてジュースが与えられる。ニホンザルは数十試行でこの連合を学習することができる。 サルの行動トレーニングが完了したことを確認してから、MRIを撮像し、神経活動の計測を行う小脳外側部(歯状核)を同定した。多点電極を標的脳領域に挿入して単一神経細胞記録を行い、多くのニューロンが視覚刺激呈示期間や眼球運動期間などに活動を示すことを確認している。これらの活動の一部が学習の段階に依存した神経活動を示すことを見出しており、その結果の一部を令和4年度に国内および国際学会で発表することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、感覚運動連合学習の研究で大きな進展があった。全体として計画通り、おおむね順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
連合学習の研究については、着実にデータが集まりつつあり、次年度もこのまま実験を継続する。1頭目の動物から十分な神経活動データが取得でき次第、記録を行った部位に、GABA作動薬を微量注入し、行動と記録された神経活動の因果関係を調査する。また、並行して2頭目のサルのトレーニングを開始する。社会性行動の研究については、実験に着手はしたものの、まだ意味のあるデータが得られない状況であり、行動課題の改良を継続する。
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