研究領域 | マルチスケール精神病態の構成的理解 |
研究課題/領域番号 |
21H00207
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
塩田 倫史 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (00374950)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グアニン四重鎖 / 神経機能 / mRNA / ストレス顆粒 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、未だ生物学的機能が不明である「グアニン四重鎖」に着目し研究を行っている。グアニン四重鎖はグアニンが豊富な配列領域でDNA・RNAが形成する特 殊な核酸高次構造のひとつである。研究代表者は、精神疾患モデルマウスを用いた解析で、グアニン四重鎖の構造異常が精神障害を引き起こすことを明らかにした (Shioda et al., Nat. Med. 2018; Sci. Adv. 2021) 。しかしながら、mRNAグアニン四重鎖と「精神疾患の認知障害」との関連性は未だ明らかにされていない。本研究では、グアニン四重鎖を形成し、神経機能維持のために必要なタンパク質をコードするmRNA群、つまり「神経細胞におけるグアニン四重鎖形成mRNA」を多数同定することができた。さらに、それらの中で特に神経機能に重要な役割を担うmRNAを特定し、そのmRNAで形成されるグアニン四重鎖の高次構造を明らかにした。そして、グ アニン四重鎖の形状変化によってそのRNA動態が制御されることを見出した。さらに、神経細胞に高発現する新たなグアニン四重鎖結合タンパク質を同定した。そのタンパク質はストレス顆粒の形成に重要であり、神経細胞死に関与することが本研究により明らかになった。この新規グアニン四重鎖結合タンパク質はRNA代謝 に影響を与え神経細胞死を誘導する可能性が示唆された。また、G4はRNAだけでなくDNAでも神経機能において重要な役割を担うと考えられる。現在、私達はG4DNAのゲノムマッピングが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グアニン四重鎖を形成し、神経機能維持のために必要なタンパク質をコードするmRNA群、つまり「神経細胞におけるグアニン四重鎖形成mRNA」を多数同定することができた。さらに、それらの中で特に神経機能に重要な役割を担うmRNAを特定し、そのmRNAで形成されるグアニン四重鎖の高次構造を明らかにした。そして、グ アニン四重鎖の形状変化によってそのRNA動態が制御されることを見出した。さらに、神経細胞に高発現する新たなグアニン四重鎖結合タンパク質を同定した。そのタンパク質はストレス顆粒の形成に重要であり、神経細胞死に関与することが本研究により明らかになった。この新規グアニン四重鎖結合タンパク質はRNA代謝 に影響を与え神経細胞死を誘導する可能性が示唆された。現在、論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
G4はRNAだけでなくDNAでも神経機能において重要な役割を担うと考えられる。現在、私達はG4DNAのゲノムマッピングが可能となった。今後、神経機能とG4DNAの関与を明らかにしていく。
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